トップ> カンざい整理くん> ヘルプ> 破産管財人の業務の流れ> 簡易配当処理

簡易配当

簡易配当は,最後配当ができる場合において,最後配当に代えて行われるものです。以下の点が異なります。

①債権者への周知方法の個別通知への限定(配当広告なし)

②除斥期間の2週間から1週間への短縮

③配当表に対する異議申立についての裁判所に対する即時抗告の不許

④配当額を定めた場合の債権者への個別通知の省略

中間配当を行った場合には,簡易配当をすることはできません。(法207)

少額型(法204①一)

配当をすることができる金額が1000万円未満の場合に利用できます。簡易配当許可申請書を裁判所に提出し,裁判所書記官が許可をすることにより行われます(法204①一)。配当をすることができる金額が1000万円未満の場合は,原則この配当方法を使います。

1. 配当表の作成・提出

最後配当と同じで,配当許可後遅滞なく配当表を作成し,裁判所に提出します(法205・196①)。ただし,配当広告はないので,その費用を控除する必要はありません。

2. 届出破産債権者への通知

管財人は,配当表を裁判所に提出した後,遅滞なく,届出をした破産債権者に対する配当額を定めて,「配当についての通知書」を通知します(法204②)

3. 通知が債権者に到達したものとみなされる旨の届出

通知が債権者に到達したとみなされたら(法204③),管財人は,遅滞無くその旨を裁判所に「配当の通知の到達に係る届出書」を提出しなければなりません(法204④)

4. 除斥期間

通知が債権者に到達したものとみなされる旨の届出があった日から起算して1週間(法205・198①)

5. 配当表の更正

新たに配当に充てることができる財産が発見された場合の対応を除き,最後配当と同じです。財産が発見されたときに配当表の更正ができるのは,除斥期間経過後1週間以内のものに限られます(法205・201⑥・200①)

6. 配当表に対する異議

最後配当と同じですが,異議申立についての裁判に対して,即時抗告をすることができません(法205で法200③が除外されている)

7. 配当額の定め

最後配当と同じですが,債権者への個別通知は省略されています(法205で法201⑦が除外されている)

以下,最後配当と同じです。

開始時異議確認型(法204①二)

裁判所が相当と認める場合に利用します。(破産債権者が簡易配当手続について異議を申立てる可能性がある場合に利用されます。一般的にはあまり使わないと思われます。)

配当時異議確認型(法204①三)

配当をすることができる金額が1000万円以上の場合において,相当と認められるときに,管財人の申立てにより,裁判所書記官が許可をすることにより行われます。

基本的には少額型簡易配当と同じですが,以下の点が異なります。

届出破産債権者への通知のときに,「簡易配当についての通知書(簡易配当をすることにつき異議がある場合は,裁判所に対して異議申述期間内に異議を申述べるべき通知のこと)」を通知しなければなりません(法204②・206前段)

簡易配当を実施することに異議がなければ,少額型の簡易配当と同じ手順を行います。異議があった場合は,最後配当の手続を行います。